非線形数理 冬の学校「発展方程式系の解の挙動」
―反応拡散方程式理論の最先端―

日程・場所

2006年12月13日(水)~15日(金)

東京工業大学大岡山キャンパス

西8号館 10階 E1011号室(12/13),W1008号室(12/14, 15)

講師の方々(敬称略)と講義題目

中木 達幸(広島大学) 「移動境界問題と反応拡散系による近似」

仙葉 隆(宮崎大学) 「走化性方程式の解の爆発について」

石井 克幸(神戸大学) 「平均曲率流の近似問題について (粘性解理論の応用)」

倉田 和浩(首都大学東京) 「スカラー反応拡散方程式の環境効果と多重安定定常解について」

石毛 和弘(東北大学) 「熱方程式の解の最大点挙動」

プログラム

12/13(水) E1011号室
13:30 - 13:40 Opening
13:40 - 14:30 石井 I
14:50 - 15:40 石井 II
16:00 - 16:50 石井 III
12/14(木) W1008号室
10:30 - 11:50 仙葉 I
13:10 - 14:30 仙葉 II
14:50 - 15:40 石毛 I
16:00 - 16:50 石毛 II
12/15(金) W1008号室
10:30 - 11:50 中木 I
13:10 - 14:30 中木 II
14:50 - 15:40 倉田 I
16:00 - 16:50 倉田 II

スクールの感想 (北海道大学大学院(現・東北大学) 岡部真也氏)

非線形数理「冬の学校」2006

岡部真也(北海道大学大学院理学研究院)

非線形数理冬の学校「発展方程式系の解の挙動」– 反応拡散方程式理論の最先端– は, 2006 年12 月13 日(水) から15 日(金) までの3 日間に渡って, 東京工業大学大岡山キャンパスにお いて開催された. 大岡山キャンパス内には色鮮やかな黄葉を残した銀杏の木々が見られるなど 12 月としては比較的暖かな天候の中, 多くの参加者があり大変有意義な研究集会となった. 以 下, この研究集会について報告させて戴くが, 報告者は一参加者に過ぎないため偏った視点で の報告となることをご容赦戴きたい.

本研究集会の目的は, 様々な分野の研究者が発展方程式系および反応拡散方程式理論につい て, できる限り予備知識を仮定せず平易かつ明快な解説を, 主に院生を対象として行う, という ものである. 実際に多数の院生の方々の参加があった一方で, ほぼ同数程度の研究者の方々が 参加されていたように見受けられた. 報告者も院生ではないのだが, この研究集会の趣旨とそ の内容に惹かれ今回初めて参加させて戴いた. 結果として, 参加者多数のため当初予定されて いた会場を急遽変更することとなったものの, 世話人の先生方および研究集会を通して会場世 話係を務めていた東北大学, 東京工業大学の院生方のおかげで, 予定通り13 日午後1 時半から 開始された.

以下, プログラムに沿って各講演内容を紹介させて戴く. 本研究集会最初の講演者は石井克 幸先生(神戸大学) であった. 本研究集会は, 各講演者がおよそ100 分または150 分の持ち時間 を二回ないし三回に分けて, 休憩をはさみつつ, 連続して講演するという形にプログラムが組 まれており, 石井先生は各50 分の三回の講演をされた. その中で, 平均曲率流の定義から始ま り, 等高面の方法, 粘性解の概念, そして最後には, 平均曲率流を近似するBMO アルゴリズム の収束についても丁寧に説明して戴いた.

翌14 日にはお昼休憩をはさんで午前午後それぞれ一回ずつ仙葉隆先生(宮崎大学) に, 細胞 性粘菌の集合体形成現象の数理モデルとして得られる, 放物型-楕円型方程式系に対する初期 値境界値問題の解の時間大域的存在と爆発, そして爆発解の爆発時刻での挙動について講演戴 き, 時には証明の詳細についても解説戴いた. 続いて行われた石毛和弘先生(東北大学) による 講演では, 熱方程式の解の最大点集合であるHot spots に関して, 外部領域の場合に先生が証 明された結果を紹介するとともに, その解析において何が困難であるのか, そしてその困難を いかに解決したかに論点を絞りわかりやすく説明戴いた.

最終日であるが, 前半は, Stefan 問題を題材とした移動境界問題について中木達幸先生(広 島大学) が講演された. 具体的な内容としては, 反応拡散系による近似を用いた, 移動境界の数 値解法であるThreshold Competition Dynamics 法についてであり, そのシミュレーション結 果もみせて戴くなど印象に残る講演であった. 後半では, 倉田和浩先生(首都大学東京) が,「ス カラー反応拡散方程式の環境効果と多重安定定常解について」と題し, 変分法の観点から, 空 間非一様な効果を有する幾つかのスカラー反応拡散方程式の定常問題に関する多重安定パター ンの存在について講演され, 非常に興味深い内容であった.

以上5講演をもって本研究集会は終了したわけだが, すべての講演者の方々が本研究集会の 趣旨に沿った熱心な講演をされ, それらを僅か3 日の間に聴くことができた我々参加者は非常 に有意義な時間を過ごすことができた. 最後に, 本研究集会の世話人である三村昌泰先生(明 治大学), 柳田英二先生(東北大学), 谷口雅治先生(東京工業大学), そして講演された先生方に 深く感謝申し上げ, 報告を終了させて戴く.

※「応用数理」 17巻2号, p.87-88 "非線形数理「秋の学校」2006"(岡部氏)より転載. 本稿の著作権は日本応用数理学会に帰属します.

資料

PDFファイル レクチャー・ノート


組織委員:柳田 英二(東北大学大学院理学研究科数学専攻)、三村 昌泰(明治大学 理工学部数学教室)、谷口 雅治(東京工業大学大学院情報理工学研究科)

後  援:科学研究費補助金 基盤研究(S) 『非線形非平衡反応拡散系理論の確立』
     代表者 : 三村昌泰(明治大学理工学部)


 

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